外を歩いている際、天井に沿って上がっていくガレージシャッターを見掛けたことはありませんか?
このガレージシャッターは様々な呼ばれ方をしていて、
- オーバースライダー
- オーバースライディングドア
- オーバーヘッドドア
などと言われています。どれも同じものを指します。
この記事ではオーバースライダーという名称で統一させて頂きます!
私は仕事の関係上、オーバースライダーを見る機会が非常に多くあります。
オーバースライダーは意外と馴染みが無い方が多く、建築関係の方も知らない方が多いという現状のようです。
私は現物を見る機会が多いからこそメリット・デメリットどちらも知ることが出来ました。
今回はオーバースライダーのメリットとデメリットのご紹介と、併せて構造や仕組みもご紹介させて頂きたいと思います。
新築やリフォームでオーバースライダーを設置するか迷われている方の参考になれば幸いです。
では、解説していきます!!
オーバースライダーのメリット3つとは?
まずはオーバースライダーのメリットからご紹介していきます!
オーバースライダーの主な製造メーカーは三和シャッター・文化シャッター・金剛産業などがありますが、どのメーカーも基本的な仕組みは同じです。
私が考えるメリットを3点お伝えします!
意匠性が高い
まずはシンプルに、カッコ良いです!!
住宅の中でも車庫の開口部が1番広い場合が多いと思います。
言い換えれば、車庫の開口部が住宅の中で1番目立ち、その住宅の顔となる部分になります。
その目立つ部分に、倉庫や工場に付いているようなシンプルな巻き上げシャッターを設置するのは味気ないですし、もったいないですよね。
オーバースライダーの場合は様々なパネル色があるのはもちろん、木目調のシートを貼れるシリーズもあるので様々な住宅と調和したものを選ぶことができます。
ガレージにオーバースライダーをつけました。音が静かでカッコイイです。軽量シャッターより全てにおいて勝ってるような。 pic.twitter.com/HkMcz8mqv5
— STUDIO M+ (@mplus911) March 3, 2015
ラインナップが豊富
オーバースライダーには様々な素材のものがあります。
私が知っている限り、
- アルミ
- スチール
- 木
が主流の素材になります。
パネルをフラットにしたいときはアルミにしたり防火地域の場合はスチールを使うなど、様々な希望や状況に対応できます。
木に関しては米杉や米松などの天然木を使用します。
天然木特有の木目や重厚感がとても映えるのでオススメです。
上記の素材以外にも、アルミ枠と透明の素材(ガラスやポリカーボネード)を組み合わせてショーウインド効果のあるオーバースライダーもあります。
車のショールームのように車庫内が外側からも見えるので、こだわりがある方にはオススメです!
静音性が高い
巻き上げシャッターは開閉する際の音がうるさいイメージがあります。
仕事の都合上、早朝や深夜に開閉することが多い方はとても気を遣いますよね。
一方、オーバースライダーは開閉する際のモーター音は聞こえますが、気にならない程度の音です。
注意点として、特に冬は寒さの影響でパネルが反ってしまい、開閉する際にバキバキと音が鳴ってしまう場合があるようです。
しかし、全てのパネルが反ってしまうわけではないのでその音も一瞬です。
暖かくなると音も消えることが多いようです。
オーバースライダーのデメリット3つとは?
続きまして、オーバースライダーのデメリットをご紹介します。
ラインナップの多さや機能性は申し分ないので、私が考えるデメリットは建築的な部分が多いです。
では、ご説明していきます!
天井に照明が設置出来ない場合がある
オーバースライダーは天井に沿ってパネルが上がっていくものになります。
よって、天井に照明を付けたくても全開したときのパネルと緩衝する恐れがあり、設置できない場合があります。
全開したときのパネルと天井の隙間に余裕があれば設置可能ですが、全開した際には照明が隠れてしまうので注意が必要です。
多くの場合、壁に照明を設置することになります。
オーバースライダーにすると、照明の位置が難しいですよね〜
— JW5-1496@元整備士 (@JW5_1496) September 4, 2020
注意点が多い
巻き上げシャッターに比べて注意点が多いこともデメリットだと思います。
主にパネルが通る位置に梁があったり、勝手口のドアがあったりする場合は設置が出来ない場合もあります。
その梁や勝手口のドアを避けようとすると開口幅や開口高が小さくなってしまい、残念な結果になりかねません。
そのような場合は巻き上げシャッターにすることをオススメします。
メーカーによっては梁やドアとの接触を防ぐ為、レールをカットして調整してくれる場合もあるようです。
寸法によっては価格が高い
やはり、オーバースライダーを検討する際には価格が気になりますよね。
車が1台入る程の開口幅(約3m前後)の場合は巻き上げシャッターより約3割程、金額が上がると言われています。
逆に車が2台入る程の開口幅(約6m前後)以上になると巻き上げシャッターより金額が下がる傾向があります。
個人的な推測ですが、オーバースライダーはもともと倉庫や工場に使われるような大型開口のものが多いので、需要の関係で開口幅が広いものは金額が下がる傾向にあるのだと思います。
オーバースライダーの構造や仕組みは?
上記の絵はオーバースライダーを設置した際の内観図です。
ここではオーバースライダーが開閉する仕組みや構造もお話出来ればと思います。
では、解説していきます!
スプリングと呼ばれる部材の力で開閉している
上記の絵を見ると、真ん中のモーターの力で開閉しているように見えますが、実は前部にあるスプリングという部材の力で動いているのです。
このスプリングと呼ばれるものはバネのような形状になっています。
オーバースライダーが閉まる際にパネルの重みでスプリングがクルクルとねじられていき、全閉しているときがスプリングに1番力が溜まった状態になります。
その力が溜まった状態から元に戻ろうとする復元力を利用してパネルが上がっていくのです。
真ん中に設置されているモーターはあくまでも補助的な役割で、能力も人間が手で開閉するときの力ほどしかありません。
スプリングは消耗品
上記のように重要な役割を担っているスプリングですが、家電製品と同じく消耗品です。
オーバースライダーの開閉が1日で約3往復だった場合、約10年から15年後にスプリングが切れ、使用不可の状態になります。
スプリングが切れるときは1番力が溜まっている状態に起こります。
よって全閉された状態でスプリングが切れる為、車が傷ついたり怪我をしてしまう可能性は極めて低いと言えます。
バネが切れてしまった場合は交換が必要なので、採用メーカーにお問い合わせ下さい。
オーバースライダー設置後の感想は?
続いてオーバースライダー設置後のお客様からの意見や、私自身感じたことを解説していきます。
オーバースライダーを設置済の方にも参考になると思います。
意外と手入れが大変
意外と手入れが大変という声をよく耳にします。
特に大変なのが注油です。
パネル同士を繋ぐヒンジという部分や開閉する際にオーバースライダーが通るレール部分に注油をしないと、金属同士が擦れた非常に大きい音がする場合があります。
その場合は注油によって解消する場合が多いですが、レール部分などは人間の身長よりはるかに高い位置にあるので、脚立に乗って作業を行う必要があります。
高齢者の方などは転倒などの恐れがあるので、そのような場合は製造メーカーに注油を依頼しています。
注油を行う場合は、油が垂れる可能性が少ないシリコンスプレーを使用することをおすすめします。
メンテナンス費用が高額
設置後のメンテナンス費用が高額になることも覚悟すべきだと思います。
設置範囲が広いので、当然巻き上げシャッターよりメンテナンスをする範囲は広くなります。
- スプリングの経年劣化による交換
- 電動機モーターの経年劣化による交換
- 音鳴りによる注油(自身で注油が不可能な場合)
などが挙げられますが、そのたびに出張費・工事費・部材代が発生します。
特にスプリングの交換は30~40万円前後かかる場合もあり、お客様にも驚かれることが多いです。
正直なところ、金銭的な部分を抑えたい場合は巻き上げシャッターを選んだほうが良い場合もあります。
オーバースライダーのメリットとデメリットは?構造や仕組みもご紹介!:まとめ
オーバースライダーのメリットとデメリット・構造や仕組みの解説はいかがだったでしょうか。
オーバースライダーは住宅で1番広い開口部に設置することが多いので、個人的には巻き取りシャッターよりオーバースライダーを設置した方が、後になって後悔しないと思います。
私はメリット・デメリットどちらも知っているからこそ、高級な外観なのに何でこのシャッターなのかと思う現場がよくあります。
各メーカーにはもう少しオーバースライダーの宣伝を強化すべきだと思っています。
以上になります!!
ありがとうございました!!